少し前(H26年3月5日)の日経MJの記事(小阪裕司さんの「招客招福の法則」というコラム)ですが、あるメガネ店主さんが取り組んだ休眠客の呼び戻しのはなしをご紹介しましょう・・・。
売り上げを作る種まき
対象にした休眠客は、休眠基準を明確に定義して識別した200人です。行ったのは彼らに店主が「おなじみさんレター」と呼ぶものを送ることです。その大まかな内容は、
自店の価値を語り直し、送付する対象者に対してあなたが当店の特別な人であることを伝え、自分の近況や所感などを書いたものです。
この活動を地道に1年間続けたところ、結果は、働きかけに反応して来店してくれた人14%、購入してくれた人10%、購入金額の合計は120万円というものでした。
休眠客をきちんと定義・識別し、こういうレターを送ることは手間のかかることです。それなら日々目先の売り上げを追っていた方が楽ではないかという考え方もあります。
しかし、たった数枚のレターで、120万円の売り上げがあがったことは大きいと言えます。それ以上に、そのまま流出してしまったであろう顧客が14%も戻ってくることは大きな成果です。なぜならここで、彼らがその後も買い物を続けてくれる可能性が生じ、その金額総計はさらに大きなものになるからです。
しかし、店主がそれ以上に成果と感じているのは、計画的に売り上げを作ることができたという実感です。今回の売り上げは、景気や社会の動向に関係なく、店主と顧客の間で計画的に作られたものです。このようなことが可能なら、他の様々なお客さんの来店・購買行動も作ることができるだろうと、彼は手ごたえを語ります。
また彼は、今回の来店・購入客がレターが届いておよそ数ヵ月後に来店したことから、
「今日の売り上げは今日作られるのではない」との気づきを得ました。今日の売り上げが悪い原因は、今日売り上がる状況作りをしてこなかったことだ。
ここで「なんとか今日の売り上げを作らなければ。タイムサービスだ」などと考えると、先々の売り上げもおぼつきません。目先の売り上げを追う方が一見現実的に見えますが、実は先々の苦労を生み続ける、非現実的な選択なのです。