「ひと手間」マーケティングのはなし 5 「お客様の声」が代弁するお店の価値で集客成功!!

少し前(H26年2月19日)の日経MJの記事(小阪裕司さんの「招客招福の法則」というコラム)ですが、都内でラーメン店を営む方が取り組んだはなしをご紹介しましょう・・・。

この店には、店内に「つぶやきノート」なるものがあるそうです。A4判のノートに来店客が自由に書き込むものです。彼らがラーメンを待つ間、少しでも楽しんでもらえるようにと始めたものですが、最近では書き込む人も増え、一つひとつに目を通し感想を書き込むのが、店主の楽しみにもなっていました。

そんな折、店主はふと考えました。このお客さんの生の声を、立て看板に書いて外に立てておけば、来店してみなければ分からない店の雰囲気が伝わり、新規のお客さんにも来ていただけるのではないかと。

そこでボードにお客さんの声を書き込み、外に立ててみました。書かれている言葉は、すべてノートの言葉から選び出したものです。

そこには「こんなおいしいラーメンを作る店長は罪な男ですね!」「落ち込んでいるときにこのラーメン(激辛が好き)を食べると元気になります」「ここのラーメンの味も店長さんの人柄も大好きです」「家族で大ファンです」といった言葉が並んでいます。

結果は、多くの通行人が立ち止まり、看板を見るようになりました。家族連れが増えました。また来店客も、ノートを見る人や書き込む人が増えたとのことです。新規客やリピート客との絆も深まったと、店主は手ごたえを語っています。

価値は語らなければ伝わりにくいものです。
そしてお客さんの声とは、しばしばそれを代弁してくれるものです。

「家族で大ファン」と聞けば、家族で行っても楽しめる店なのだとストレートに伝わります。だから家族連れも増えるのです。

ところで、今回の話では見逃してはならない点があります。この話からのヒントはノートの存在と立て看板への展開ですが、ノートに好意的に書かれていることは、もっぱら、ラーメンの感想と店主の人柄についてのことです。つまりはそれがあってこそ、今回のような施策が生きるということなのです。

つまり、どんな人脈を持っていても、どんなに宣伝がじょうずでも、商品やサービス自体に優位性がなければものは売れないということです。