「おもてなし」マーケティングのはなし 1 驚きと感動を与える接客で客が客を呼ぶ絆を生む

「売る」と「売れる」

一文字ちがうだけで、ずいぶん意味が変わります。
「売る」というのは、営業マンから「買ってください」と説得されるイメージですが、「売れる」というのは、お客様から「これ下さい」と言われるイメージです。
「売る」は、「ありがとうございます」と言うのは営業マンです。「売れる」は、お客様が「どうも、ありがとう」と言ってくれます。
伸び悩んでいる会社さんというのは、「売る」ことを考えているようです。その反対に、安定して好成績の会社さんは、「売れる」ようにしています。

少し前(H26年6月27日)の日経MJの記事です。

お客様と仲良くなるためには何をすべきか―。その知恵の宝庫といえる店が、大阪府の南部、堺市の住宅街にある「居酒屋てんてん」。店舗面積は22坪で月商は330万円。常連客が9割を占める地域密着型の人気店だ。

店で驚かされるのが、スタッフのフレンドリーな接客だ。

1.お客様と乾杯  ファーストドリンクの提供時、「一緒に乾杯させてもらっていいですか?」と確認した後、スタッフは予め用意したビールピッチャーの特大模型を掲げて「乾杯」と音頭をとる。

2.お客様とゲーム 次回にまた来店したら使える500円の割引券を賭けたゲームをするなど、店内は常にワイワイとにぎやか。普通に割引券を渡したのでは印象に残らないので「黒ひげ危機一髪」ゲームに勝ったら券がもらえるようにした。でも負けたお客様はたいてい「もう1回!」と再挑戦するので、最終的にはお客様全員に割引券を配っている。

3.お客様にデコ皿 お客様同士の会話に常に気を配り、「試験に合格した」など使えそうなキーワードが聞こえたら、お客が頼んだ料理の皿にマヨネーズなどで「合格おめでとうございます」といったメッセージや絵を描く。

4.お客様に感謝  お客様を感激させるサプライズの演出の極め付きは、会計を済ませて店を出た後、必ずスタッフが「来てくれてアリガトウ」などと書かれた旗を掲げ、お客の姿が見えなくなるまでずっと見送っている。ピークタイムに見送りのためにスタッフを割くのはオペレーションに負担がかかる。それでも、「気持ちの良い見送りが最もお客様の印象に残る。さらに通行中の自動車や歩行者にもアピールできる」として力をいれている。

5.お客様は応援団 10回以上来店したお客様は店の「応援団」と認定し、2カ月に1回の応援団限定の飲み会(参加費3,000円)に参加できる。発売前に食べられる新作料理を用意しており、お客様に特別完を与えている。ほかにもお花見やバーベキューなど応援団メンバー限定のイベントを年2~3回開催。そうしたイベントはお客様とスタッフ、さらにはお客様同士の「絆づくりがの目的」。応援団は現在、約100人。応援団のメンバーには、本人の顔写真入りの店の名刺が100枚配られ、その裏がポイントカードになっている、知り合いに渡してもらって、来店時に使ってもらうことが目的。およそ新規客の2割がその名刺を持って来店しているという。

まさにお客がお客を呼ぶ仕組みとなっている。