「おもてなし」マーケティングのはなし 4 見えない「壁」を壊せ!

少し前(H26年1月31日)の日経MJの記事(榎本博之さんの「アゲる!店づくり」)です。

自分のお店に、お客様が入りにくい

「壁」はないでしょうか?

「壁」は心理的抵抗とも言え、お客様がそれをわざわざ自分から壊して入ってくるようなことはまれです。お店側はできるだけ心理的抵抗を取り除き、先回りして見えない「壁」を壊す必要があります。

お客様が感じる心理的抵抗は多岐にわたります。

✅ 階段の段差といったハード面

✅ 店頭駐輪の放置や店頭の設置物といった付帯面

✅ 従業員の視線や接客といった待遇面

✅ 清掃やクリンリネスといった衛生面         などがあります。

付帯面で注意したいのは、「禁止」と書かれた店頭販促(POP)類です。「禁止」はネガティブな意味合いが強く、多くのお客様が抵抗感を抱きやすいです。「立ち読み禁止!」や「携帯電話禁止!」「ペット同伴禁止!」といった言葉がお客様の目に留まると、制約されて自由な買い物ができないと捉え、そのお店から足が遠のく原因となっていまいます。

この損失は大きいです。「禁止」という言葉から、「ご利用の際は、お声掛け下さい」といった表現への見直しや携帯電話利用スペースの設置など、お客様に選択肢を与える配慮が求められます。

禁止とは逆に心理的抵抗を和らげる表現もあります。例えば、「冷やかし歓迎」や「見るだけOK]と記載したPOPは店頭に掲示するだけで、入店する人に「禁止」とは異なる安心感をもたらすでしょう。

言葉一つでお客様の反応は大きく異なります。

待遇面では、店頭での試食や試飲サービスの実施により、入りやすさに結び付けているお店があります。カルディコーヒーファームでは、店頭でコーヒーの試飲サービスを行っており、類似業態でも同様のサービスが広がっています。立ち止まって試飲する人は少なく、店内を歩き回る人が多いです。最終的には、手元に紙コップが残るので受け取ったところに戻ってくるように巡回します。

店頭で試飲を受け取ると自然と店内にお客様が流れるので、商品を見る時間が長くなります。商品を見る時間が長ければ、商品を手に取り、買い上げにつながるチャンスは高まってきます。

また、試飲の呼びかけが「ただ今、店頭でコーヒーをサービスしております」とし、セールストークをしない配慮がお客様への好印象につながっています。

「壁」を作るのも、壊すのもお店側の考え方一つで決まります。

お客様がどんな時、どんなことに壁を感じるか、自分自身がお客様の立場でお店を見れば、ヒントは見えてきます。やはり、見えない「壁」はないに越したことはありません。