「合わせ技」マーケティングのはなし 2 オートバックスのネットとリアルの合わせ技

少し前(H26年4月16日)の日経MJの記事ですが、オートバックスさんの取組をご紹介しましょう・・・。

カー用品最大手のオートバックスセブンがインターネット通販と店舗を連携するO2O(オンライン・トゥ・オフライン)戦略を強化しているそうです。店頭の4倍以上の商品を品そろえするネットと、カー用品を装着できる店舗が強みを補完しあい、相乗効果を生み出しています。来店客の増加で「ついで買い」を誘うほか、ネットモールにも出店し非会員も開拓しています。

同社がネット通販で扱う商品は10万点以上です。様々な車種別に対応した商品を幅広くそろえられます。実店舗では旗艦店でさえ2万5,000点程度にとどまり、さかばる商品や単価の高い商品も多いカー用品店では在庫を多く持てません。店舗の4倍以上の品目を置けるネット通販は、需要が少ない商品にも対応できる利点があります。

ただ、カー用品はネットで購入しても消費者が自分で取り付けにくいものが多いのが実情です。同社ではネットで予約した商品を店舗で受け取ると送料は無料にしています。

来店すれば取り付けサービスで稼げるほか、他の商品を購入する「ついで買い」も見込めます。実際、ネット通販を利用した客の7割が店頭での受け取りを選ぶそうです。なお、店頭で受け取れば販売は店舗の売り上げに計上して、ネットに売り上げを奪われることを懸念する店長に配慮しているそうです。

自社サイトでは3年前からネット通販を本格展開してきましたが、近年は楽天、アマゾン、ヤフーなど大手ネットモールにも販路を広げています。価格は基本的にはネットと店舗で統一し、装着サービスも含めた総額を表示して消費者への分かりやすさを重視しています。

ネット通販事業の売上高は10億円程度に成長し、売り上げの6割強が自社サイトです。外部モールでは同社のポイント会員ではない購入客が7割弱にのぼり、新規顧客の開拓に成功しています。

スマホ用アプリも12年に始め、オイル交換や車検の予約など機能を増やしています。待ち時間を減らすことで顧客満足度(CS)を高める狙いです。車検を通じて走行距離や購入してからの年月などの情報を把握・分析し、650万人いる会員それぞれに合った商品も提案していきます。

カー用品小売り最大手の同社ですが、ネット事業の売上高はタイヤやカーナビなど商品カテゴリーを絞ったネット専業には劣るようです。同社の社長は「ネット事業の売上高を1ケタ増やす」と意欲を見せています。今後は「店舗とネットの連携や物流体制を大きく変え、消費者に便利な仕組みに改良していく」と意気込んでいます。