「逆転の発想」マーケティングのはなし 3 「売らない」広告で共感を呼ぶコンテンツマーケティング

少し前(H26年2月19日)の日経MJの記事ですが、各社の取組をご紹介しましょう・・・。

インターネット上の販促活動で「コンテンツマーケティング」を呼ばれる手法が注目を集めています。ブログや画像、映像を活用して、これまで接点の少なかった新規顧客の開拓につなげる手法です。特定の商品を宣伝する広告とは一線を画し、優れたコンテンツで消費者の共感を得ることで、競合との差異化につながるとの期待が高まっています。今後、企業や製品のブランド価値を高める手法として広がりそうです。

コンテンツマーケティング成功の条件は、

1.広告のように自社の製品・サービスを前面に出さない
2.ブログやSNSなど製品・サービスに合ったメディアを選ぶ
3.製品の作り方やサービス提供者を身近に感じられる内容にこだわる
4.顧客層に想定する消費者にとって身近な話題などを提供する
5.コンテンツ制作では丸投げせず、細かなニュアンスにも自社で注意を払うことで内容を充実させる
【 JTBさんの取り組み ~ 地域の魅力を記事で発信 】

JTBのホームページ内にある「交流応援隊通信」は一見すると、地域活性化の事例集の趣です。全国でも有数の星空が見えやすいことで有名な長野県阿智村。地元住民があたり前と思っていた星空を観光資源に育てようと奮闘する担当者のインタビューや、町工場で修学旅行の見学を受け入れる大阪府東大阪市の取り組みなど10の記事が掲載されています。

阿智村を紹介する記事では、星空を観察するナイトツアーを企画するJTB社員の苦労話が3ページにわたって紹介されています。一方でナイトツアーを勧誘する宣伝などは一切していません。

JTBブランド戦略推進室のグループリーダーは「ホームページを閲覧した消費者に現地の取り組みに共感してもらうことに注力した」と語っています。旅行商品でも価格競争が激しさを増すなか、価格では比較されない、地域の素晴らしさを伝えることで差異化を図っています。

【 セレクトショップ大手ビームスさんの取り組み 】

ビームスのホームページではバイヤーのブログや店舗スタッフが自分の名前でツイッターやフェイスブックなどのSNS(交流サイト)で情報を発信し続けています。約300人のスタッフがコンテンツマーケティングを担っています。

ツイッターなどでは自社製品の宣伝は極力控え、「本業の衣料品販売から離れた話題を発信して、スタッフに親しんでもらう」ことを目標にしています。

【 化粧品メーカーエトヴォスさんの取り組み 】

自社ホームページ内の美容コラムを刷新し、自社製品のPR主体だった内容を改め、目元のストレッチケアといった美容関連の記事をほぼ毎日の頻度で更新するようにしました。大手メーカーに比べて知名度や取扱店舗数も少なく、リピート客に比べて新規顧客の購入が伸び悩んでいた同社にとって、新規顧客の開拓が課題でした。

リピート客の多くはインターネット検索でも「エトヴォス」と打ち込んで、同社のホームページを閲覧していました。新規顧客が同社のホームページを検索したり、閲覧する機会が増えなかったため、美容コラムで女性を自社ホームページに引き寄せるコンテンツマーケティングの導入を決まました。

刷新した美容コラムでは「チークの色」や「にきびケア」といった女性の関心を集めるコラム記事が「NAVER(ネイバー)まとめ」などのまとめサイトで取り上げられたことで、美容コラム解説を契機にホームページのアクセス数は増加傾向にあり、美容コラムの閲覧者数は刷新前に比べて1ヵ月で2倍に増えたそうです。

SNSやスマホの普及で消費者への情報伝達手段が変わろうとしています。