ブルーオーシャン戦略は「競争しない戦略」であり「顧客創造戦略」でもある!!

マーケティング

市場を創る「非顧客戦略」 相模屋食料~豆腐メーカーの場合

豆腐は、顕在市場では料理する人が買い、家族単位で消費する食品の典型で、男性も若い女性も自ら買うことは少ない食品と言えます。

そこで、潜在市場に向けて自分で買って一人で食べる「個食」を好む層に、簡便で目新しい食のバリエーションを追加し、新しい顧客を生み出している訳です。

機動戦士ガンダムのキャラクターを模した「ザクとうふ」は自ら豆腐を買うことが少ない男性客をターゲットに定めた商品です。

濃厚なクリーム感の「ナチュラルとうふ」は20~30代前半の女性を主なターゲットにして東京ガールズコレクションで人気を呼んだそうです。

さらに当社では、平成28年3月にはカルビーのフルーツグラノーラの小袋をセットした朝食向けの「とうふで、グラノーラ。」を発売されています。

直近でも「ひとり鍋」シリーズや「おかずやっこ」シリーズで、個食を好む層に簡便で目新しい食のバリエーションを追加し、新しい顧客を生み出し続けているそうです。

マーケティングでは、新しい顧客のグループを共通項でまとめ(セグメンテーション)、特定のセグメントの顧客をターゲットとして狙い(ターゲッティング)、かつ競合企業との差異化と優位性を顧客が認識できる製品やサービスを提供する(ポジショニング)ことが基本です。

これをSTPと呼びますが、STPは新しい顧客の分類軸を提案し、その顧客を対象に新市場を創出するマーケティング活動の指針となります。

また、市場を作るには、発売時だけでなく、発売後もブランドとして育て続ける覚悟が必要です。(企業が顧客にとって価値のあるブランドを構築するための活動をブランディングと言います。ブランドの法的所有者は企業であっても、実際にブランドの価値は個々の消費者の頭・心の中に所有されています)

潜在市場はブルーオーシャンの可能性が高いと言えます。つまり、市場に導入して商業化した後、一定の規模を達成する産業化に至るには、市場にいなかった非顧客を顧客に転換させる軸を発見し、マーケティング努力でアプローチし続けなければならないということです。

商品の斬新な発想にまず目が行きますが、創業65年の老舗豆腐メーカーとしてのブランドに加え、実は確固たる技術の裏付けもあるそうです。

この会社さんでは、①マーケティング努力、②技術開発と生産、③造形としてのデザインまでバランス良く取り組んでいるのが特徴ですね。

(出所:日経MJ平成28年4月25日、川上知子早大教授の日経MJヒット塾より)