「逆転の発想」マーケティングのはなし 2 ポーラの業態転換がつかんだ新たな顧客層

少し前(H26年1月27日)の日経MJの記事ですが、ポーラさんの取組をご紹介しましょう・・・。

20~40代の顧客をつかみ、訪販を補い成長をけん引

ポーラがエステティック設備のある「ポーラ ザ ビューティ」(PB)の展開を始めたのは2005年です。運営するのは同社と委託契約を結んだポーラレディです。フランチャイズチェーン店(FC)と異なり、1店あたり約800万円の初期投資はポーラ本社が全額負担しています。ポーラレディは毎月の家賃や光熱費を支払っています。

FCに比べて本社の経費負担は重いです。しかし、仕事を持つ女性が増えるなか訪販では顧客層は拡大を見込みにくく、ポーラはPBを拠点にブランドの認知度を高めることが不可欠と判断し本社主導で好立地の店を多数確保することにしました。先行投資が実り、若い女性の需要を開拓でき、伸びを欠く訪問販売を補って事業拡大をけん引し、2010年から利益が出始めました。PBは現在、全売上高の4割弱を占め、訪販(23%)を上回る販路に育っています。

PBはポーラレディの採用にもプラスに働いています。訪販の仕事は敬遠しても、エステティシャンになりたい人はたくさんいます。新たにポーラレディに登録する人は1年に3万人おり、辞める人を差し引いても毎年5千人ずつ純増している計算です。

特に増えているのが20~30代の女性です。「所長を目指す」「子育てを優先する」など働き方を柔軟に設計できる点が、子育てと仕事の両立が難しい現状の中で支持されています。現場の責任者が次世代の人材を育てる役割も果たしています。

売り手の若返りは若い顧客の獲得にもつながっています。訪販が主力販路だったころは50~60代が中心でしたが、今はポーラ全体でも4割が20~40代です。PBが成長エンジンとなり、ポーラの売上高は2013年12月期に1,000億円の大台を超える見込みです。

PBの出店が一巡した今後は1店舗あたりの売上高をどれだけ伸ばせるかがカギとなっています。最近はポーラレディが携帯電話販売店や自動車ディーラー、郵便局などに出向き、居合わせた女性に無料ハンドトリートメントを施すことも増えてきました。訪販で培った営業力で新規客をどこまで獲得できるかが試されています。PBの近隣の化粧品専門店の経営者は「ドラッグストア以上に脅威になってきた」と打ち明けています。